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神戸アイセンターがクラウドファンディングを実施します~iPS細胞による網膜再生医療実用化 患者さんに光を失わせない未来へ~

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記者資料提供(2024年12月2日)
企画調整局医療産業都市部
 神戸アイセンター(神戸市立神戸アイセンター病院、公益社団法人NEXT VISION及び株式会社ビジョンケア)では2017年の設立以来、「全ての視覚障害者にあらゆる解決方法を提供する」を目的とした神戸アイセンター構想のもと、世界最先端の基礎研究、臨床応用、治療、ロービジョンケア(※)に取り組んできました。
 このたび、iPS細胞による網膜再生医療の実用化に向けて、様々な網膜変性の患者さんを対象とした次世代の移植治療法の研究を推進するため、クラウドファンディングを実施します。
※ロービジョンケア:低視力・視覚障害者向けの日常生活支援等

1.概要

 遺伝子編集を行い、様々な網膜変性の患者さんを対象とした有効性・安全性を高めた次世代の視細胞(網膜シート)移植治療方法の研究を推進するため、資金を調達するとともに、神戸アイセンター構想の取り組みを広めていきたいと考えています。
 詳細については、下記ホームページのURLをご参照ください。
https://x.gd/0111_00

2.受付期間

 2024年12月5日(木曜日)~2025年2月28日(金曜日)

3.目標金額

 10,000,000円

4.寄付金の使途

下記のとおり、様々な網膜変性の患者さんを対象とした次世代型視細胞(網膜シート)の研究・開発や、今後の臨床試験の準備、及び患者への情報発信等に活用します。
・遺伝子解析や安全性試験、細胞製造やその他臨床試験準備にかかる経費
・臨床試験に向けて、本プロジェクト含めた患者への情報発信、広報、相談対応にかかる経費

5.ご支援方法

 下記のホームページURLよりお申込みください。
 https://kobe.eye.center.kcho.jp/crowdfunding/index.html
 

6.寄付金のお取扱い

 クラウドファンディングの実行責任者であり、本研究の実施主体である神戸市立神戸アイセンター病院(地方独立行政法人神戸市民病院機構)が寄付金をお受けする窓口を設置し、寄付金の管理と寄付受領書の発行等を行います。
※いただきました寄付金は、目標金額達成の可否にかかわらず、研究資金に活用させていただきます。
※本プロジェクトへのご寄付は、税制上の優遇措置が受けられます。

7.取材対応について

12月8日に開催する「神戸アイセンター7周年記念講演会」終了後、取材対応の時間を設けております。
 
 日時 2024年12月8日(日曜日)17時~おおむね1時間程度
 場所 神戸アイセンター2階「Vision Park(ビジョンパーク)」
 ※記念講演会の会場とは異なりますのでご注意ください。
 参加者 栗本 康夫 (神戸市立神戸アイセンター病院 院長)
 万代 道子  (神戸市立神戸アイセンター病院 研究センター長)
 仲泊 聡  (公益社団法人NEXT VISION 代表理事)
 髙橋 政代 (株式会社ビジョンケア 代表取締役社長/神戸市立神戸アイセンター病院 研究センター顧問)
 方法 ハイブリッド開催
 申込方法 参加希望される方は、12月6日(金曜日)15時までに、下記ホームページのURLもしくは2次元コードより申し込みをお願いします。
 https://x.gd/1111_00   
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(参考)神戸アイセンター7周年記念講演会
 開催日:2024年12月8日(日曜日) 15時00分~16時30分
 開催場所:神戸臨床研究情報センター(TRI)第1研修室
 プログラム:【講演1】 神戸市立神戸アイセンター病院 病院長 栗本 康夫
 演題『人生百年時代における日本人の失明原因と眼のiPS細胞治療』
   【講演2】 公益社団法人NEXT VISION 代表理事 仲泊 聡 
 演題『NEXT VISIONの10年』
   【講演3】 株式会社ビジョンケア 代表取締役社長 髙橋 政代
 演題『持続可能な再生医療』
 ホームページURL:https://x.gd/0011_0

(参考)

1. 重度の視覚障害者の治療効果をめざす新たな治療法の確立
〇目的
 国の指定難病の一つである「網膜色素変性」は、徐々に視野が狭くなり、視力を失うこともある遺伝性の病気で、全国で約2万7,000人の患者がいると言われていますが、現在は治療法が確立されていません。
このような疾患を抱え、重度の視覚障害者の病状の進行を遅らせたり、視機能を維持し失明を防ぐことを目指し、神戸アイセンターではiPS細胞を使って様々な網膜変性の患者さんを対象とした次世代型の網膜シートを作製し、移植する新たな治療法の研究を進めています。

〇現状
 これまでの基礎研究の結果から、iPS細胞由来の網膜シートの移植により、視機能が回復する可能性があることがわかっています。
また、神戸アイセンター病院では、2020年に2名の網膜色素変性の患者に網膜シートを移植した結果、安全性の確認と視機能改善の可能性が見られたものの、まだまだその効果は限定的であり、さらなる研究が必要です。

〇新たな治療法の開発
 このため、今回、下記の3つの技術を新たに導入することで、様々な網膜変性の患者さんを対象とした治療効果の高い次世代型移植用網膜シートを作製し、これまでに比べて、さらに視機能が改善される新たな治療法の開発をめざします。
 ①大きな網膜シートの作製
 従来の作製方法(浮遊培養法)に改良を加えたことで、これまでと比べて、
 より大きな網膜シートを作製することで、広範囲への移植が可能となりました。

 ②拒絶反応を起こしにくいさい帯血由来iPS細胞の活用
 さい帯血は、お母さんと赤ちゃんをつなぐへその緒や、胎盤の中に含まれている血液で、
 幹細胞という体の様々な組織を形成する細胞が豊富に含まれています。
 さい帯血の中から細胞移植を行うのに適した、拒絶反応を起こしにくい特定のHLA(※)の型を持つ細胞からiPS細胞を作製することで、
 患者に拒絶反応が起こりにくく、汎用性の高い網膜シートを作製できます。
 ※赤血球に血液型があるように、白血球など全身の細胞にも型(HLA型と言います)があり、両親から遺伝的に受け継ぎます。

 ③遺伝子編集技術の導入
 遺伝子編集技術を用いて、疾患の治療に必要な細胞のみを精選して患者に細胞移植することで、
 生着した細胞がより効率的に機能します。

〇期待される効果
 これまでに比べて、視機能の改善と進行する病状の抑制が期待できます。

【視細胞(網膜シート)の移植イメージ】
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2.神戸アイセンター構想について
 iPS細胞を活用した世界初の臨床研究をはじめとして、基礎研究から臨床応用、治療リハビリ・生活復帰支援まで、眼の問題について全般的に対応できるワンストップセンターの役割をめざした構想として、国家戦略特区プロジェクトに位置付けられている。
(神戸アイセンター構想URL  https://kobeeyecenter.jp/)
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〇神戸市立神戸アイセンター病院
 自治体病院としては唯一の眼科専門病院として神戸市の眼科領域の中核病院であり、標準医療からiPSを活用した世界初の臨床研究の実施まで行っている。また、神戸医療産業都市に貢献するとともに、眼のワンストップセンターとしての役割を果たすべく、臨床研究から臨床応用へ、そして治療、障害者支援への橋渡しまで幅広い取り組みを進めている。

〇公益社団法人NEXT VISION
視覚障害者の日常生活・就労など社会参加活動等に対する様々な支援、視機能の向上・回復のためのリハビリテーション及び必要となる技術開発と支援、眼科領域における調査・研究等を行うことにより、すべての視覚障害者の福祉向上と科学技術の発達に寄与することを目的に設立。

〇株式会社ビジョンケア
 網膜疾患の治療法の開発をはじめ、視覚障害者が抱えるさまざまな問題を解決するため、研究、臨床、患者ケアを一体化させた「神戸アイセンター構想」のもと、世界初のiPS細胞を用いた臨床応用に成功したチームによって設立。「Total solutions for every patient-すべての患者さんのために、あらゆる解決策を」を理念に、網膜外層疾患の治療開発のみならず、ロービジョンケアなど視覚障害者への包括的な支援に取り組んでいる。また、日本の医療システムの課題解決を目指して革新的な取り組みも進めている。